調理師が「やめとけ」と言われる理由とは?|向いている方の特徴も解説
国家資格の調理師免許を持つ「調理師」は、飲食店やホテルをはじめ、病院、介護施設、保育園など、さまざまな職場で活躍できる職業です。一方で「調理師になったら苦労するからやめておいたほうがいい」といった声を耳にし、調理師になろうか迷っている方がいることも事実です。
どの職業にも、その仕事ならではの楽しい部分と大変な部分がありますから、就職・転職前に調理師の大変さややりがいを知り、不安や迷いを解消することは非常に大切です。
当記事では、調理師という仕事について、なぜ「やめとけ」「つらい」と言われるのかを詳しく解説します。あわせて、調理師にやりがいを感じられる人・向いている人の特徴や、職場がブラックと感じた場合の対処方法も紹介するので、調理師を目指している方、あるいは調理師の仕事に不満を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
調理師が「やめとけ」「つらい」と言われる理由
調理師が「やめとけ」「つらい」と言われる理由を知る前に、調理師が本当に大変な仕事なのかを客観的に見ておきましょう。
厚生労働省が公表した「令和4年上半期 雇用動向調査結果の概況」によると、調理師を含む「宿泊業、飲食サービス業」の離職率は15.0%となっています。
【産業別の全体離職率】
産業名 | 離職率 |
---|---|
鉱業、採石業、砂利採取業 | 3.8% |
建設業 | 4.5% |
製造業 | 5.5% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 7.5% |
情報通信業 | 6.4% |
運輸業、郵便業 | 6.4% |
卸売業、小売業 | 8.0% |
金融業、保険業 | 4.7% |
不動産業、物品賃貸業 | 8.3% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 6.6% |
宿泊業、飲食サービス業 | 15.0% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 10.0% |
教育、学習支援業 | 12.2% |
医療、福祉 | 9.9% |
複合サービス事業 | 7.4% |
サービス業(他に分類されないもの) | 11.1% |
(出典:厚生労働省「令和4年上半期雇用動向調査結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-1/dl/gaikyou.pdf)
また、新卒者の3年以内離職率は高校新卒で60.6%、大学新卒が49.7%と、こちらも他業種に比べて高い傾向です。
【高校・大学新卒者の3年以内離職率】
高校新卒 | 離職率 | 大学新卒 | 離職率 |
---|---|---|---|
宿泊業・飲食サービス業 | 60.6% | 宿泊業・飲食サービス業 | 49.7% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 57.2% | 生活関連サービス業・娯楽業 | 47.4% |
教育・学習支援業 | 53.5% | 教育・学習支援業 | 45.5% |
小売業 | 47.6% | 医療、福祉 | 38.6% |
医療、福祉 | 45.2% | 不動産業、物品賃貸業 | 36.1% |
(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)を公表します」/https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00005.html)
上記のデータから、多くの調理師が働く宿泊や飲食サービスの業界は、ほかの業界と比較して離職率が高いことが分かります。離職理由はさまざまだとしても、職場を変えたくなる方が非常に多い業界だと言ってよいでしょう。
ここからは、「調理師はやめとけ」「調理師はつらい」と言われる主な理由について紹介します。
転職を成功させる方法
長時間労働の職場が多い
調理師の方の多くは、飲食店やホテルなどで働いています。
厚生労働省の「令和4年版過労死等防止対策白書」によると、宿泊業・飲食サービス業は実労働時間週60時間以上の就業者がもっとも多い業界です。全業界での平均は就業者の8.0%ですが、宿泊業・飲食サービス業では15.3%となっており、運輸業・郵便業の14.8%を上回っています。
(出典:厚生労働省「令和4年版過労死等防止対策白書(本文) 第3章過労死等をめぐる調査・分析結果」/https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001001687.pdf)
また、2020年の調査では、宿泊業・飲食サービス業における年次有給休暇の消化率が45.0%となっており、こちらも全業種でもっとも低い数値です。
(出典:厚生労働省「令和3年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」/https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/karoushi/21/index.html)
感染症などの影響を大きく受ける
宿泊業・飲食サービス業は、天候や国際情勢の変化など、不測の事態が起こった際に影響を受けやすい業界です。近年で言えば、新型コロナウイルス感染症が宿泊業・飲食サービス業に及ぼしたダメージは計り知れません。
事実、「飲食店・宿泊業」で働く雇用者の75.8%は、新型コロナウイルス感染症の流行により、「雇用や収入にかかわる影響を受けた」と回答しています。これは、ほかの業種と比較して最大の割合です。
(出典:厚生労働省「令和3年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」/https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/karoushi/21/index.html)
また、宿泊業・飲食サービス業で働く雇用者の55.8%の収入が、新型コロナウイルス感染症の影響で減少しており、こちらもほかの職種に比べて最大の割合です。
(出典:厚生労働省「令和4年版過労死等防止対策白書(本文) 第3章過労死等をめぐる調査・分析結果」/https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001001687.pdf)
今後、新型コロナウイルス感染症による影響は落ち着いていくと考えられますが、調理師が感染症の流行といった出来事に左右されやすい仕事であることは、間違いありません。
給与が安い
日本の給与所得者の平均給与は、443万円です(2021年12月31日時点)。
(出典:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」/https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2021.htm)
一方で、飲食物調理従事者の平均年収は約340万円となっており、給与所得者の平均給与と比較するとやや低いことが分かります。
【飲食物調理従事者の平均年収】
平均月給 | 平均賞与 | 平均年収 |
---|---|---|
約26.1万円 | 約26.8万円 | 約340万円 |
(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」/https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040029185)
ただし、「飲食物調理従事者」には調理師免許を持たない料理人なども含まれます。また、上記はあくまで給与所得者のデータですから、調理師免許を生かして飲食店などを開業することで、これ以上の金額を稼ぐことも可能でしょう。
職場によっては下積み期間が長い
伝統ある料亭やレストランなど、職人文化が強く残る職場では、長い下積み期間(修業期間)を求められるケースもあります。一方で、病院や介護施設、学校などは比較的下積み期間が短い傾向です。即戦力として働きたい場合は、後者を選ぶのがよいでしょう。
強いプレッシャーを感じる方もいる
仕事として料理をする以上、安心・安全でおいしい食事を提供しなければいけないというプレッシャーは少なからずあります。
レストラン・カフェなどで働く場合は、SNSの口コミやレビューサイトの評価などから受けるプレッシャーもあるでしょう。また、病院や介護施設、保育園などで働く場合は、飲食店以上に衛生管理や栄養面に気を使う必要があり、そうしたプレッシャーが「調理師はつらい」と言われる要因となるケースも少なくありません。
人間関係が悪い職場もある
働き方改革やパワハラ防止法(労働施策総合推進法)などによって、国内の労働環境は改善されつつあるものの、調理師の職場の一部ではスタッフ間の上下関係が厳しい場合もあります。
また、病院や介護施設、学校施設などで働く調理師は、栄養士や料理人以外にもさまざまな職種と協働する必要があります。その際、それぞれの信念や目標の違いから意見が対立することもあるかもしれません。
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調理師に向いている方の特徴
調理師に向いている方の特徴は、以下の通りです。
・前向きに考えるのが得意な方
・体力と忍耐力がある方
「料理を作るのが好きか」「料理を通じて人を喜ばせたいか」という要素は、調理師にとって非常に重要です。どのような仕事にも、ストレスを感じるときやつらいと感じる瞬間はありますが、大変なときでも「料理が好き」という思いを原動力にして、前向きに努力できる方は調理師に向いているでしょう。
また、調理師の仕事場である厨房は、冷房が効いていても暑いことが多いです。仕込みから片付けの時間まで長時間の立ち仕事となるため、調理師には一定の体力も求められるでしょう。
前述したように下積みが必要な職場もあるため、修行を頑張れる忍耐力がある方も、調理師に向いていると言えます。
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今の職場がブラックと感じた場合の対処方法
前提として、調理師の職場がすべて長時間労働や給与の低さといった問題を抱えているわけではありません。社会全体で見れば、労働環境が改善傾向にあることも事実です。
それでも今の職場に不安や不満を感じる場合は、転職を検討するのも1つの方法でしょう。
調理師の方が転職する場合は、業界に特化した転職サイトなどで興味が持てる求人を探すことから始めてみましょう。そうするうちに、自分が譲れない条件や大切にしたい価値観などが見えてくるはずです。
「転職の軸が見つからない」「どんな求人が自分に合っているのかわからない」などで悩んだら、転職エージェントに相談するのもおすすめです。転職エージェントは、求職者の話を聞いた上で今後のキャリアを一緒に検討し、1人ひとりに合った求人・転職先を提案してくれるので、転職活動がスムーズに進むでしょう。
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まとめ
近年はインターネットなどで、「調理師として働くのはやめとけ」という言葉を目にすることがあります。しかし、「調理師として働くかどうか」に迷ったときは、誰かの意見を鵜呑みにするのではなく、事実をもとに「自分にとって調理師が向いているかどうか」を検討することが大事です。
調理師に限らずどのような仕事であっても、合わない方は一定数います。一方で、調理師として人々の健康を支える仕事に誇りを持っている方もたくさんいます。そうしたことも踏まえながら、自分が進みたい道・進むべき道を真剣に考えてみてください。
それでも不安や迷いがあるときは、転職エージェントに相談するのもよい方法です。マイナビコメディカルでは、業界に精通したキャリアアドバイザーが、多くの公開・非公開求人から1人ひとりに合った職場をご紹介いたします。提出書類の添削や面接対策、日程調整の代行なども行っておりますので、「スキルアップしたい」「サービス残業がない職場に転職したい」「年収アップをかなえたい」など、あなたのご希望をぜひお聞かせください。
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※当記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています
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