あん摩マッサージ指圧師とはどのような資格?取得方法と進路を解説
あん摩マッサージ指圧師は、「あん摩」「マッサージ」「指圧」という3つの手技を使って、患者さまのこりや痛みをやわらげる仕事です。施術に必要な国家資格を取得するには、養成施設で3年以上学ぶとともに、国家試験に合格する必要があります。
当記事では、あん摩マッサージ指圧師の資格の概要や、資格を取得する方法について解説します。あん摩マッサージ指圧師として、さまざまな分野で活躍したい方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
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目次
あん摩マッサージ指圧師とは?
あん摩マッサージ指圧師とは、体の痛みやこりなどの症状で困っている方に施術を行い、症状の軽減・緩和を図る仕事です。あん摩マッサージ指圧師になるには国家資格が必要で、無免許で施術を行った場合は、法律による処罰の対象になります。
2021年に厚生労働省が行った調査では、あん摩マッサージ指圧師を含めた「その他の保健医療従事者」の平均年収は約423万円でした。
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html)
あん摩マッサージ指圧師の仕事は、患者さまから直接お礼を言われたり、患者さまが喜ぶ顔を見られたりする機会が多いので、「やりがいを感じやすい仕事」だと言えます。
あん摩マッサージ指圧師が行う施術は東洋医学にもとづいたもので、あん摩、マッサージ、指圧という3種類の技術を用います。それぞれを詳しく見てみましょう。
あん摩
あん摩は、古代中国で生まれた技術で、「あん(按)」は押さえることを指し、「摩」はなでることを意味します。あん摩では、東洋医学にもとづいて「あん」と「摩」を使い分け、心臓から遠い方向へ向かって筋肉をたたいたりもんだりしながら、血流の改善などを促します。衣服の上、またはタオルの上から施術を行うのも、あん摩の特徴です。
マッサージ
マッサージの技術は、ヨーロッパで誕生しました。マッサージでは直接皮膚に触れ、心臓に向かってなでることで循環機能の改善を促します。言い換えれば、なでる・さするといった技術をメインに用いて、リンパなどの流れの改善を図る施術方法が、マッサージというわけです。
あん摩マッサージ指圧師が行うマッサージは、人体に体重をかけたり、患者さまが痛みを感じる程度の強さをもって行われたりもします。こうしたマッサージは、あん摩マッサージ指圧師や医師が行わなければ、患者さまの体に危害を及ぼす危険があるため、無資格者が業としてマッサージを行うことは禁じられています。
(出典:公益社団法人 京都府鍼灸マッサージ師会「無免許者対策活動」/https://ksmk.jp/unlicensed/)
指圧
指圧は、大正時代に日本で生まれた技術です。衣服の上から指でツボを圧して刺激し、筋肉や神経、内臓などの調整を図ります。
指圧にはアメリカの整体術からの影響も見られ、日本のみならず海外でも使用される技術となっています。
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あん摩マッサージ指圧師の資格を取るには?
あん摩マッサージ指圧師として働くには、国家試験に合格しなければなりません。あん摩マッサージ指圧師国家試験の受験資格を得るには、高校卒業後に養成施設で3年以上勉強する必要があります。
なお、あん摩マッサージ指圧師と似た職種に整体師やセラピストなどがありますが、それらは国家資格ではなく、あん摩マッサージ指圧師とは施術できる範囲・内容が大きく異なります。
ここからは、あん摩マッサージ指圧師の資格の取得方法を詳しく解説します。
あん摩マッサージ指圧師の養成施設に通う
あん摩マッサージ指圧師について学ぶには、大学や専門学校など、養成施設として指定されている学校に通う必要があります。
専門学校を選んだ場合は、あん摩マッサージ指圧師に必要な知識・スキルを3年間で学ぶことができます。夜間部がある学校なら、社会人でもあん摩マッサージ指圧師を目指しやすいでしょう。
また、なかにはあん摩マッサージ指圧師の受験資格と、はり師・きゅう師の受験資格を同時に取得できる養成施設もあります。はり師・きゅう師の資格を取っておけば鍼灸師としても働けるため、将来の選択肢を広げる目的で同時取得を目指す方も多くいます。
あん摩マッサージ指圧師の養成施設の学費は、入学金や授業料、施設費、実習費などを含めると、一般的に330〜550万円程度かかると言われています。
あん摩マッサージ指圧師の国家試験を受ける
あん摩マッサージ指圧師の国家試験は年に1回実施され、前述したように、あん摩マッサージ指圧師の養成施設に3年以上通うことで、受験資格を得られます。
試験方法は筆記試験となっています。受験手数料は14,400円で、指定試験機関である公益財団法人東洋療法研修試験財団の口座に振り込む必要があります。
(出典:厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行」/https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/anma/)
令和4年に実施された、あん摩マッサージ指圧師国家試験の受験者数は1,278名で、合格者は1,082名、合格率は84.7%でした。
(出典:厚生労働省「第30回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について」/https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2022/siken13_14_15/about.html)
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あん摩マッサージ指圧師資格を得た後の進路は?
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得した方の就職先としては、鍼灸マッサージ院や治療院、介護福祉事業所、スポーツ関連企業・施設などが挙げられます。あん摩マッサージ指圧師には開業権が認められているので、自分で治療院などを開業することも可能です。
ここからは、あん摩マッサージ指圧師資格を得た後の代表的な進路について、詳しく解説します。
病院・治療院で働く
あん摩マッサージ指圧師が病院で働く場合、整形外科に所属することが多いでしょう。病院では患者さまへのマッサージを行うほか、理学療法士や作業療法士とともにリハビリのサポートを行うケースもあります。
病院は医療マッサージの経験を積みやすい職場であり、医師や理学療法士などが持つ西洋医学的な知識を学べる環境でもあります。
治療院では、体のこりや不調を抱える患者さまに対して、鍼灸師や柔道整復師と協力しながら最適な施術法を提案・実施します。
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介護業界で働く
介護業界では、「訪問マッサージ」という形で施術を行うことが多いでしょう。
訪問マッサージは、あん摩マッサージ指圧師が、介護を必要とする方の自宅や介護施設に出向いて施術を行うサービスです。
訪問マッサージの目的は、通院などが困難になった利用者さまの関節の動きや痛みを改善することです。また、筋麻痺や筋力低下が見られる利用者さまに対しては、筋力増強の促進を目的とした施術を行うこともあります。
あん摩マッサージ指圧師で5年以上の実務経験を積めば、ケアマネジャーの受験資格を得られるため、介護分野における仕事の幅をさらに広げられるでしょう。
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スポーツトレーナーとして働く
あん摩マッサージ指圧師は、スポーツ分野でも活躍できます。あん摩マッサージ指圧師の主な役割は、練習や試合の後にスポーツ選手の体をほぐし、けがの予防につなげることです。
また、疲労やけがの後遺症をケアすることで、選手はよいコンディションを維持しやすくなります。あん摩マッサージ指圧師の資格を持ったスポーツトレーナーは、選手がベストパフォーマンスを発揮するための助けとなれるでしょう。
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まとめ
あん摩マッサージ指圧師は国家資格であり、取得するには国家試験に合格することが必要です。指定された大学や専門学校などの養成施設で3年以上勉強するとあん摩マッサージ指圧師の受験資格が得られます。
資格の取得後は、医療や介護業界、スポーツ業界などさまざまな分野で活躍することが可能です。あん摩マッサージ指圧師の資格を生かせる職場をお探しの方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。マイナビコメディカルでは、知識豊富なキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を強力にサポートいたします。
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※当記事は2023年1月時点の情報をもとに作成しています
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