臨床心理士の仕事内容は?具体的な支援方法と活躍分野を解説

更新日 2023年04月19日 公開日 2023年04月22日

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臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する公的資格であり、精神的な悩みや不安を抱える方たちの問題解決に取り組む専門家です。臨床心理学の知識・技術を生かし、「クライエント」となる相談者とのカウンセリングを通して、心の問題が解決に向かうようにサポートすることが、臨床心理士の主な仕事内容となります。

しかし、日常生活で臨床心理士と接する機会は少ないため、具体的にどのような業務を行っているのか、どのような分野で活躍できるのかについてイメージできない方も多いでしょう。そこで今回は、臨床心理士の仕事内容から主な活躍分野、資格取得の方法までを詳しく紹介します。臨床心理士の仕事に興味のある方や臨床心理士を目指したい方は、ぜひお役立てください。

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臨床心理士の仕事内容は?具体的な支援方法と活躍分野を解説

臨床心理士は何をする仕事?

臨床心理士とは、臨床心理学のスキルや技術を生かして、精神的な悩みを抱えるクライエント(相談者)の問題解決をサポートする職業です。

日本には、人々の心の問題に取り組む専門家として「心理カウンセラー」「心理セラピスト」「心理相談員」と呼ばれる職種もありますが、それぞれに明確な資格が必要なわけではありません。一方の臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格することで認定される、心理専門職です。

臨床心理士は民間資格の1つながら、より有効性のある「公的資格」とされており、多くの職場やクライエントから高い信頼を得ている点に特徴があります。

(出典:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士とは」/http://fjcbcp.or.jp/rinshou/about-2/

(出典:一般社団法人 日本臨床心理士会「臨床心理士について」/http://www.jsccp.jp/person/about.php

なお、2018年からは、唯一の心理系国家資格となる「公認心理師」が新たに誕生しました。公認心理師と臨床心理士は、いずれも「医療領域・産業領域・福祉領域・司法領域・教育領域」の5領域で活躍できる心理系資格であり、業務独占資格ではありません。しかし、公認心理師については、今後「資格者でなければ行えない業務」が出てくる可能性もあります。臨床心理士の方は、さらなるスキルアップ・キャリアアップを目指して、公認心理師の取得にチャレンジしてみるのも良いでしょう。

臨床心理士の主な仕事内容は、下記の4つに分けられます。

  • ●臨床心理査定
  • ●臨床心理面接
  • ●臨床心理的地域援助
  • ●調査・研究

ここからは、臨床心理士の専門業務について詳しく解説します。

臨床心理査定

臨床心理査定とは、いわゆる「心理アセスメント」であり、観察やさまざまな心理検査を通して、クライエントの特性・独自性や抱えている問題(悩み・不安など)の所在を明らかにする業務です。臨床心理士だけでなく、他の専門家とも連携をとりつつ検討を行います。

クライエントが抱える問題点が明らかになった後は、「どのような方法を用いて援助するのが望ましいか」などの点を明確にするのも、臨床心理査定の一環です。

(出典:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士の専門業務」/http://fjcbcp.or.jp/rinshou/gyoumu/

(出典:一般社団法人 日本臨床心理士会「援助の方法」/http://www.jsccp.jp/person/support.php

臨床心理面接

臨床心理面接とは、クライエントとの人間関係を構築しながら、その人の特徴や課題に応じた臨床心理学的技法を用いて、問題解決や苦しみの軽減を目指す行為です。臨床心理面接は、臨床心理士の活動の中心であり、クライエントの心の支援において非常に重要な過程となります。

ここでは、「クライエント中心療法」「認知行動療法」「芸術療法」「集団療法」など、さまざまな臨床心理学的技法が使われますが、どの技法を用いるかは、クライエントの状況によって異なり、どの方法が適しているかを判断するのも臨床心理士の大事な役割です。1つの技法を用いてさほど効果が見られなかった場合は、別の技法を用いることも多くあります。

(出典:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士の専門業務」/http://fjcbcp.or.jp/rinshou/gyoumu/

(出典:一般社団法人 日本臨床心理士会「援助の方法」/http://www.jsccp.jp/person/support.php

臨床心理的地域援助

臨床心理的地域援助とは、地域住民や学校、企業に所属する人々(コミュニティ)の心の健康に対する活動や、災害や事件・事故によって生じた心の被害の支援活動、さらには将来的な心の問題に対する予防的働きかけを行うことです。

臨床心理士が心の問題解決を援助する対象者は、個人のクライエントだけではありません。コミュニティが健全な発展を遂げていくために、心理的情報を提供したり、提言したりすることも、臨床心理士の役割です。臨床心理的地域援助においては、他の専門家や専門機関と連携をとることもあります。

(出典:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士の専門業務」/http://fjcbcp.or.jp/rinshou/gyoumu/

(出典:一般社団法人 日本臨床心理士会「援助の方法」/http://www.jsccp.jp/person/support.php

調査・研究

心の問題への援助を行っていく上で、技術的な手法や知識を確実なものにするために、「臨床心理査定」「臨床心理面接」「臨床心理的地域援助」に関する調査や研究活動を行うことも、臨床心理士の大切な仕事と言えます。

クライエントやコミュニティの状況は常に変化しているため、過去の知識に頼っているだけでは対応しきれないケースも出てきます。そのため、実際に対応した事例を取り上げて、心の問題の形成やそれに対する援助内容を検証する「事例研究」は、臨床心理士の扱う調査・研究のなかでも、特に重要視されています。

(出典:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士の専門業務」/http://fjcbcp.or.jp/rinshou/gyoumu/

(出典:一般社団法人 日本臨床心理士会「援助の方法」/http://www.jsccp.jp/person/support.php

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臨床心理士が活躍する分野

臨床心理士はクライエントの心の問題に取り組む専門家であることから、精神科病院や心療内科、メンタルクリニックなどが代表的な活躍フィールドとなります。

加えて、下記のような分野でも臨床心理士の需要が高まっています。

  • ●教育分野
  • ●医療・保健分野
  • ●福祉分野
  • ●司法・矯正分野
  • ●労働・産業分野

(出典:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士の職域」/http://fjcbcp.or.jp/rinshou/shokuiki/

臨床心理士は、幅広い領域でさまざまな人々の手助けができる仕事と言えます。ここからは、それぞれの分野で具体的にどのような支援を行うのかを解説します。

学校臨床心理士(スクールカウンセラー)

学校臨床心理士(スクールカウンセラー)とは、学校に配属され、子どもや教師、保護者の心のケアを行いながら、学校生活におけるさまざまな問題の解決を支援する臨床心理士のことです。主な仕事内容・支援内容は下記の通りとなります。

  • ●子どもや教員、保護者の相談対応・カウンセリング
  • ●子どもや教員への研修・講話
  • ●相談者への心理検査を用いたアセスメント
  • ●ストレスチェックなどを用いた予防的対応
  • ●事件・事故発生時の被害生徒の心のケア など

メインとなる業務は子どもの心のケアであり、時には教員や保護者と連携をとるケースもあります。校内におけるいじめの深刻化や不登校児童の増加に伴い、多くの学校ではカウンセリング機能の充実を目指して、子どもたちの心の成長をサポートする臨床心理士を求める傾向にあります。

(出典:文部科学省「スクールカウンセラーについて」/https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/066/gaiyou/attach/1369846.htm

子育て支援

子育て支援の分野で活躍する臨床心理士は、地域の虐待相談・対応窓口や児童相談所、児童養護施設など、子どもに対する支援・援助を提供する施設で働くケースが多い傾向です。なお、2020年4月に児童虐待防止法・児童福祉法が改正されたことによって、子育て支援分野における臨床心理士の需要はより高まりました。

職場によって細かな業務内容は異なるものの、基本的には「虐待を受けた子どもに対する直接的な支援」「子育てによって心の問題を抱えた保護者のケアや支援」などの業務を幅広く行うことが特徴です。

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高齢者支援

福祉分野で活躍する臨床心理士には、高齢者支援を主な業務とする方も多くいます。

高齢者のなかには加齢により認知機能が低下し、身体的な不調や抑うつ状態などの精神的な不調をきたす方もいます。高齢者支援を行う臨床心理士は、医療施設や介護施設でそのような問題を抱えた高齢者に対して、ストレス要因を明らかにしたり、症状の緩和に向けたケアを行ったりします。その際、対象者の家族や医師、看護師、リハビリ職などあらゆる方面と連携をとることも、臨床心理士の大事な役割です。

犯罪被害者等支援

司法・矯正分野で活躍する臨床心理士には、犯罪被害者等支援を行う方もいます。何らかの犯罪被害を受けた方の場合、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的な問題を抱えるケースも少なくありません。

犯罪被害者等支援を行う臨床心理士は、被害者支援センターや警察庁の犯罪被害者支援室に配属され、問題を抱えた犯罪被害者に対してカウンセリングを行ったり、日常生活における幅広い支援を提供したりします。場合によっては、臨床心理士が同様の被害に遭った被害者が集う自助グループの紹介や活動支援を行うこともあります。

(出典:公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク「目指す社会と使命」/https://www.nnvs.org/network/sengen/

私設臨床心理士

私設臨床心理士とは、個人が開業した私設の心理相談機関で働く臨床心理士のことで、「開業臨床心理士」とも呼ばれます。

私設臨床心理士の役割は、心理相談機関によって異なるものの、基本的にはクライエントの臨床心理面接や臨床心理療法が主な仕事です。多彩な相談に対応し、それぞれのクライエントに適した支援を1人もしくは少人数で行うことになるため、幅広い知識・技術や豊富な実務経験が必要とされます。

(出典:開業臨床心理士協会「開業心理臨床とは」/https://www.sopccp.com/tokai_P2a.htm

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臨床心理士の資格を取得するには?

臨床心理士として働きたい場合は、年に1回のみ実施される臨床心理士資格試験に合格することが必要です。臨床心理士資格試験を受けるためには、定められた受験資格をクリアしなければなりません。下記は、臨床心理士試験の概要です。

受験資格 ●日本臨床心理士資格認定協会が定めた7種類の受験資格のうち、いずれかの基準を満たしていること
●受験資格基準を満たしていることが分かる必要証明資料を提出できること
試験方式 ●一次試験:筆記試験(合計4時間)
(多肢選択方式試験・論文記述試験)
●二次試験:口述面接試験
費用 合計81,500円~
(資格申請書類:1,500円
資格審査料:30,000円
資格登録料:50,000円)

(出典:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士になるには」/http://fjcbcp.or.jp/shinrishi/

臨床心理士資格試験は、東京都でのみ実施されます。そのため、遠方に住んでいる場合は資格取得費用に加えて、交通費が必要となることも覚えておきましょう。なお、試験合格通知を受け取ったのち、交付手続きを所定の期日までに完了して初めて臨床心理士として認められます。試験合格後は、すみやかに資格登録手続きを行いましょう。

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まとめ

臨床心理士とは、人々の心の問題に取り組む専門家として、日本臨床心理士資格認定協会が認定する公的資格です。臨床心理学に関するスキルや技術を生かし、精神的な悩みを抱えるクライエントの問題解決を支援することが主な仕事となります。

臨床心理士は、精神科病院のほか、教育分野や福祉分野、司法・矯正分野、労働・産業分野などさまざまな分野で活躍することが可能です。分野ごとに具体的な支援内容も異なるため、どのようなクライエントの心の問題に取り組みたいかを考えた上で、自分に合った職場を検討するとよいでしょう。

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※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています

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