柔道整復師とは?整体師やあん摩マッサージ指圧師との違い、資格の取得方法も

更新日 2023年10月26日 公開日 2023年10月26日

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柔道整復師は、昔から「ほねつぎ」や「接骨師」などの呼び名で知られる伝統的な職業です。柔道整復師として働くには国家資格が必要で、取得後は接骨院だけでなく、病院からスポーツ業界、介護業界まで幅広い職域で活躍できます。

ところで、同じく手を使って施術を行う、整体師やあん摩マッサージ指圧師と柔道整復師には、どのような違いがあるのでしょうか。この記事では柔道整復師と整体師、あん摩マッサージ指圧師との役割の違いや、柔道整復師の資格取得方法について解説します。柔道整復師に興味がある方、柔道整復師を目指そうと考えている方は、ご一読ください。

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柔道整復師とは?整体師やあん摩マッサージ指圧師との違い、資格の取得方法も

柔道整復師とは?

柔道整復師は、骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などのけがに対して、整復、固定、後療法といった方法を使って治療する専門家です。柔道整復師の治療は手術や薬に頼らず、人間が持つ自然治癒力を最大限に引き出すことで、改善・回復を目指す点に特徴があります。

柔道整復師は、国家資格を持つ医療従事者であるため、骨折や脱臼、捻挫、打撲、挫傷などの治療を行う場合、保険適用の対象になります。ただし、骨折・脱臼の治療に限っては、応急手当を除いて医師の同意が必要です。また、柔道整復師が手術や投薬を行うことは禁じられています。

柔道整復師の職場は、整骨院や接骨院だけではなく、病院、クリニック、スポーツチーム、スポーツジムなど、幅広いジャンルに及びます。近年は、介護・福祉業界での需要も高まっており、デイサービスなどの介護施設で勤務する方もいます。

また、柔道整復師には開業権が認められているため、整骨院、接骨院などを開業する道もあります。

柔道整復師が行う施術の特徴については、以下の表をご覧ください。

特徴 骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などのけがに対して、手技や包帯、テーピングなどを用いて治療する。
治療法 ・整復法
骨折した箇所や外れた関節などを元の状態に戻す。
・固定法
骨折や脱臼、捻挫などをした際に、三角巾や包帯、テーピングを用いて患部を固定する。
・後療法
損傷した箇所の回復を早めることを目的に、電気や光などの治療機器を用いた物理療法、筋力トレーニングなどの運動療法、手技療法を提供する。

(出典:公益社団法人 全国柔道整復学校協会「柔道整復師とは」/https://www.judo-seifuku.or.jp/judo/

整体師などとの違い

柔道整復師と整体師のいちばんの違いは、国家資格の有無です。柔道整復師は国家資格であるのに対して、整体師として働くのに特別な資格は必要ありません。

とはいえ、多くの整体師は関連する民間資格を取得しており、カイロプラクターやリフレクソロジストの資格はその代表例です。以下に、柔道整復師と整体師、カイロプラクター、リフレクソロジストの違いをまとめました。

・柔道整復師
柔道整復師の施術の主な特徴は、手術をしない「非観血的療法」を用いてけがなどを治療することです。骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの治療には健康保険が適用されます。
・整体師
国家資格を持たず、手技を使って不調の改善につとめる職業です。法律上の定義はなく、カイロプラクターやリフレクソロジストなど、関連した民間資格保持者の総称として使われることもあります。施術は健康保険の適用外です。
・カイロプラクター
カイロプラクティックとは、脊椎をはじめとする全身の歪みを整えることで自然治癒力を高め、疼痛の改善や関節の機能回復を目指す代替療法です。カイロプラクターは民間資格であり、施術には健康保険が適用されません。
・リフレクソロジスト
リフレクソロジーとは、「反射区」という体の末端にある部位を刺激することで血行を改善し、自然治癒力や自己免疫力を向上を目指す代替療法です。施術では、基本的に手、足、顔にしか触れません。リフレクソロジストは民間資格であり、施術には健康保険が適用されません。

(出典:厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/jyuudou/index.html

(出典:一般社団法人 日本カイロプラクターズ協会「カイロプラクティックとは」/https://jac-chiro.org/aboutchiro/

(出典:日本リフレクソロジスト養成学校REFLE「リフレクソロジーとは」/https://www.refle.co.jp/reflexology/

あん摩マッサージ指圧師との違い

柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師は、どちらも国家資格保持者です。

柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師のもっとも大きな違いは、施術の目的です。柔道整復師は骨折や捻挫といった、けがの治療を目的に施術を行います。一方、あん摩マッサージ指圧師は、肩こりや腰痛、体内循環の悪化といった慢性的な疾患の治療を目的にあん摩、マッサージ、指圧を施します。

そのため、柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師では、健康保険の適用疾患も異なります。

柔道整復師の健康保険の適用疾患は、骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷です。一方、あん摩マッサージ指圧師は腰痛、肩こり、神経痛、リウマチといった症状に対する施術に健康保険が適用されます。

(出典:日本あん摩マッサージ指圧師会「一般向け情報」/http://nichimakai.or.jp/public.html#license

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柔道整復師になるには?

柔道整復師になるには、国家試験に合格しなければなりません。そして、国家試験を受験するためには、柔道整復師の養成施設を卒業して国家試験の受験資格を獲得するなど、いくつかのステップがあります。

ここでは、柔道整復師の国家資格を取得するまでの流れをご紹介します。

受験資格を得る

国家試験の受験資格は、次の通りです。

・柔道整復師養成施設にて3年以上学び、柔道整復師に必要なカリキュラムを履修する
※柔道整復師養成施設とは、文部科学大臣指定の4年制大学、または都道府県知事指定の3年制の短期大学や専門学校である

(出典:厚生労働省「柔道整復師国家試験の施行」/https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/judouseihukushi/

柔道整復師の養成施設では、以下のような内容を学びます。

・基礎分野
科学的思考の基盤として必要な外国語、人文科学、社会科学、自然科学などを学ぶとともに、生命倫理や人権などについて考え、医療従事者として必要な人間性を養います。
・専門基礎分野
解剖学、生理学、運動学などで人体の構造や機能について学び、病理学やリハビリテーション医学などで基本的な疾患への対応力を身に付けます。また、柔道整復の基礎となる柔道や、柔道整復師として知っておくべき社会保障制度などのカリキュラムも受講します。
・専門分野
柔道整復学の理論を学び、臨床実習や柔道整復の実技を履修します。スポーツ分野、高齢者分野などにおける外傷予防についても学習します。

(出典:公益社団法人 全国柔道整復学校協会「柔道整復師になるには」/https://www.judo-seifuku.or.jp/judo/about/

国家試験を受ける

柔道整復師の国家試験の概要は、以下の通りです。

・試験内容
筆記試験250問(200問の一般問題と50問の必修問題)

・合格水準
一般問題で6割以上、必修問題で8割以上

・試験科目
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、衛生学・公衆衛生学、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、リハビリテ-ション医学、柔道整復理論及び関係法規

・試験日
毎年3月上旬

・試験会場
北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県

(出典:厚生労働省「第30回柔道整復師国家試験の合格発表について」/https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2022/siken16/about.html

2021年度に行われた第30回柔道整復師国家試験の合格率は62.9%でした(受験者4,359名、合格者2,740名)。一方、1992年度の第1回試験までさかのぼると、合格率は90.3%となっています。このことから、柔道整復師国家試験の合格率は、少しずつ下がっていると言えそうです。

(出典:公益財団法人 柔道整復研修試験財団「回数別受験者数等一覧」/https://www.zaijusei.com/introduction_1_shiken.html

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資格取得方法・必要な費用相場を解説!

柔道整復師に求められる素質は?

みなさんのなかには、「柔道整復師に興味はあるけれど、自分が向いているかどうかがわからず不安」という方もいるかもしれません。どのような職種にも向き不向きはありますが、柔道整復師にはどのような素質が求められるのでしょうか。

柔道整復師に求められる素質は下記の通りです。

・コミュニケーション能力
柔道整復師は患者さまと1対1で向き合い、直接体に触れて治療するため、施術にあたっては患者さまとの信頼関係が欠かせません。そのため、柔道整復師には患者さまの話をよく聞き、何に困っているのかを正確に把握するコミュニケーション能力が必要です。なお、患者さまのなかには、訴えをうまく言葉にできない方もいます。そうした場合は、優しく寄り添って丁寧にコミュニケーションをとることが求められるでしょう。
・向上心
柔道整復術や医療技術は日々進化しているため、柔道整復師は新しい知識や技術を積極的に取り入れて臨床を行う必要があります。
「国家資格の取得はゴールではなくスタート地点」だということを心に留め、個々の患者さまに最適な施術を提供できるように、知識・スキルの向上に尽力しましょう。
・手先の器用さ
柔道整復師が治療に使うのは自分の手と、テーピングや包帯、三角巾などです。慣れないうちは扱いが難しい道具も多いため、手先が器用な方は柔道整復師に向いていると言えます。
ただし、不器用であっても練習を積めば、施術に必要な技術を習得できるはずです。諦めずにトレーニングを続けましょう。
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まとめ

柔道整復師とは、骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などに対して、整復、固定、後療法といった治療を行う専門家です。

無資格でも働ける整体師とは違い、柔道整復師として働くには国家資格が必要です。また、同じく国家資格であるあん摩マッサージ指圧師とは、施術の目的や対象となる疾患が異なります。

柔道整復師になるには、柔道整復師の養成施設で3年以上学んだうえで、国家試験を受験する必要があります。コミュニケーション能力や向上心、手先の器用さに自信のある方は柔道整復師に向いていると言えるでしょう。

柔道整復師の活躍の場は、整骨院や接骨院だけでなく、病院、介護施設、スポーツ業界など幅広く存在します。柔道整復師として自分に合った就職・転職先を探している方は、マイナビコメディカルを活用してはいかがでしょうか。マイナビコメディカルでは、業界に精通した専門のキャリアアドバイザーが、非公開求人を含めた全国の求人からご希望に合った職場をご紹介いたします。応募書類の添削、面接対策などのサポートも行っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

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※当記事は2023年1月時点の情報をもとに作成しています

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