柔道整復師になるには?資格取得方法・必要な費用相場を解説!
柔道整復師とは、骨折や脱臼、打撲、捻挫などのけがに対して、整復・固定といった「出血を伴わない施術方法(非観血的療法)」で施術を行う国家資格です。
柔道整復師というと、接骨院や整骨院で働いているイメージを持っている方も多いと思いますが、近年では介護・福祉分野の事業所や施設でも、柔道整復師の知識・スキルが求められるケースが増えています。その点を踏まえるなら、高齢化社会が急速に進むなかで、柔道整復師の需要は、今後ますます高まると考えて良いでしょう。
そこで今回は、柔道整復師になるための方法として、資格の取得方法や必要な費用、社会人の方が柔道整復師を目指すポイントなどについて、詳しく解説いたします。
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目次
柔道整復師になるには?資格取得方法も解説!
柔道整復師は、骨折や脱臼、打撲、捻挫などのけがに対する施術(医療行為)が、法的に認められている職業です。いわゆる「整骨院や接骨院の先生」として働くケースが大半ですが、前述したように、近年では介護・福祉業界やスポーツ業界においても、柔道整復師の需要が高まっています。
柔道整復師と同じフィールドで活躍できる職業に「整体師」がありますが、整体師は医療行為ではなく民間療法を行う職業であり、公的な資格も必要ありません。一方、柔道整復師になるには国家資格が必要で、両者が保有するスキルや知識、施術内容には大きな違いがあると言えるでしょう。
- 第十五条
医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行なつてはならない。
(引用:厚生労働省「柔道整復師法」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000106907.pdf)
ただし、柔道整復師の国家資格を保有していても、手術などの出血をともなう医療行為はできません。
柔道整復師になるには、高校を卒業後、柔道整復師養成課程のある専門学校などで受験資格を取得し、厚生労働省が実施する国家試験に合格する必要があります。下記は、柔道整復師として就職するまでのステップを示した表です。
STEP1 | 柔道整復師国家試験の受験資格を得る |
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STEP2 | 柔道整復師国家試験に合格する |
STEP3 | 就職活動を行う |
ここからは、それぞれのステップについて詳しく解説していきましょう。
【STEP1】柔道整復師国家試験の受験資格を得る
柔道整復師になるには、毎年3月に行われる国家試験に合格し、国家資格を取得しなければなりません。柔道整復師国家試験は筆記試験のみで、実技試験は不要です。
柔道整復師国家試験の受験資格を得るには、高校卒業後、柔道整復師養成課程・柔道整復師学科のある専門学校や4年制大学、3年制短期大学などで基礎科目と実技を修得する必要があります。このルートは、一般大学の卒業者や社会人が柔道整復師を目指す場合も同様です。
なお、高校に進学していない中卒者の場合は、高卒と同様の学歴が必要となります。高校に通い直して卒業するか、高等学校卒業程度認定試験に合格しなければ、柔道整復師の養成学校に入学できないことを覚えておきましょう。
【STEP2】柔道整復師国家試験に合格する
柔道整復師養成課程・柔道整復師学科のある専門学校や4年制大学、3年制短期大学で、解剖学・生理学・一般臨床医学などの基礎科目や、柔道整復理論・柔道整復実技といった専門科目、整復法・固定法などの実技を修得すれば、国家試験を受けることができます。
柔道整復師国家試験の試験科目は、下記の通りです。
- ・解剖学
- ・生理学
- ・病理学概論
- ・運動学
- ・一般臨床医学
- ・外科学概論
- ・関係法規
- ・衛生学・公衆衛生学
- ・整形外科学
- ・リハビリテーション医学
- ・柔道整復理論
試験は、午前・午後の部に分かれており、2022年に実施された第30回の柔道整復師国家試験では、午前が128問・午後が122問でした。また、それぞれの解答時間は約2時間30分で、マークシート方式となっています。
国家試験に合格すれば、柔道整復師資格を得ることができます。参考として、2022年に実施された第30回の試験のデータを紹介しておきましょう。同年の柔道整復師国家試験における受験者数は4,359名で、試験合格者数は2,740名、合格率は62.9%でした。
ちなみに、第28回、第29回柔道整復師国家試験の合格率は、それぞれ66.0%、64.5%であり、柔道整復師国家試験の合格率は、おおよそ6~7割前後となっています。
(出典:公益財団法人柔道整復研修試験財団「 1.柔道整復師国家試験の実施」/https://www.zaijusei.com/introduction_1_shiken.html)
新卒・既卒で合格者数が変わる理由も
【STEP3】就職活動を行う
柔道整復師の国家試験を受けた後は、就職活動を行うことになります。柔道整復師は、整骨院や接骨院のほか、介護・福祉施設やスポーツ関連施設など、さまざまな職場で活躍することが可能です。
整骨院・接骨院 |
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整骨院・接骨院は、柔道整復師にもっとも人気のある就職先です。整骨院・接骨院で働く柔道整復師は、骨折や脱臼、打撲、捻挫などのけがをしたお客様に対して、医療行為を伴う施術や後療法、指導管理などを行います。なお、柔道整復師には開業権があるため、経験を積んでから独立を目指す方も多くいらっしゃいます。 |
病院・クリニック |
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柔道整復師は、病院・クリニック(主に整形外科)でも活躍することが可能です。その場合、柔道整復師は医療スタッフ・チームの一員として、骨折、脱臼などのけがをした患者さまのリハビリテーション業務を担当します。 |
介護・福祉施設 |
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介護・福祉施設で働く柔道整復師は、基本的に「機能訓練指導員」としての業務を担当します。具体的な業務内容は、利用者に向けたリハビリ業務や、筋力向上を目指したプログラムの実施、健康管理などです。 |
スポーツトレーナー |
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柔道整復師は、スポーツトレーナーとして働くことも可能です。スポーツトレーナーは、仕事内容によって「アスレティックトレーナー」「コンディショニングトレーナー」「メディカルトレーナー」などに分かれるため、自身の得意分野を生かした働き方ができるでしょう。 |
それぞれに勤務環境や仕事内容が大きく異なるため、「どの職場が自分に適しているか」をじっくり考えたうえで就職先を選びましょう。
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柔道整復師になるために必要な費用は?
柔道整復師になるために必要な費用として、学費や国家試験の受験料が挙げられます。なお、それらを合計すると、柔道整復師養成施設に入学してから卒業するまでに約400万~500万円が必要だと言われています。
それぞれの費用(例)は、下記の通りです。
費用項目(例) | 費用(例) |
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入学金 | 約300,000円 |
授業料(3年間) | 約3,500,000円 |
設備教材費・実習費 | 約250,000円 |
国家試験受験手数料 | 16,500円 |
合計 | 約4,066,500円 |
学校によっては、学費減免制度が設けられていたり、全納・分納が選択できたりするため、事前に確認しておくと良いでしょう。
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社会人が柔道整復師を目指す際のポイント
多くの柔道整復師養成施設では、社会人の方も積極的に募集しています。実際、社会人として働いていた人が柔道整復師をこころざし、柔道整復師養成施設に入学・卒業して、柔道整復師になるケースも増えています。
ここでは、社会人が柔道整復師を目指す際のポイントについて、「学校選び」「就職先選び」という2つの視点から説明しましょう。
学校選びのポイント
柔道整復師養成施設には、夜間部を設けたり、学費支援・就業支援を行ったりするなど、社会人が学びやすい環境を備えた学校も多くあります。社会人から柔道整復師を目指すのであれば、そうした学校を選ぶのがおすすめでしょう。
夜間部がある学校を選ぶ |
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夜間部(夜間コース)のある学校であれば、昼間は社会人として働きながら、柔道整復師を目指すための学習を行うことができます。 |
学費支援がある学校を選ぶ |
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入学を希望する人の経済的な負担を軽減するために、多くの柔道整復師養成施設では、教育ローンや学費分納制度を設けています。このような学費支援がある学校であれば、経済面に不安がある方も、安心して入学できるでしょう。 |
就業支援がある学校を選ぶ |
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多くの柔道整復師養成施設では、卒業後の就職をサポートしています。就業支援がある学校であれば、社会人から柔道整復師を目指す方でも、ジョブチェンジの第一歩を踏み出しやすくなるでしょう。 |
また、ほとんどの養成学校では、実際の雰囲気・方針を把握してから学校選びができるように、学校説明会やオープンキャンパスを開催しています。オープンキャンパスでは、学校見学だけでなく体験授業にも参加できるため、養成学校の比較検討がしやすくなるでしょう。
就職先選びのポイント
社会人として働いていた方が、柔道整復師の国家資格を取得して就職先を選ぶ際は、下記のポイントを押さえておくと良いでしょう。
自身が描くキャリアに合った職場を選ぶ |
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柔道整復師を目指す方の多くは、大きな目標や自分なりのキャリアプランを持っているはずです。就職先を選ぶ際は、自身の描くキャリアに合わせて、適切な職場を選びましょう。
たとえば、整骨院・接骨院の独立開業を目指すなら、できるだけ人気のある整骨院・接骨院を選ぶのがおすすめです。独立開業には技術力だけでなく、経営力やマーケティング力、集客力なども必要となります。多くのお客さまが通う整骨院・接骨院であれば、そうしたさまざまな知識・スキルを身に付けることができるでしょう。 |
柔道整復師の就職に強いキャリアアドバイザーに相談する |
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社会人として働きながら、夜間に通学する場合は、就職先探しにかけられる時間が限られてしまいます。だからといって焦って就職先を探すと、ベストな選択ができない可能性もあるため、就活に不安がある場合は、柔道整復師の就職に強いキャリアアドバイザーに相談するのがおすすめです。
キャリアアドバイザーに自身の希望やキャリアプランを伝えておけば、理想に近い求人情報だけを案内してもらえるので、就職先選びの効率化にもつながります。 |
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まとめ
骨折や脱臼、打撲、捻挫といったけがに対して、整復・固定などの方法で治療を行う柔道整復師は、整骨院や接骨院だけでなく、介護・福祉施設、スポーツトレーナーなど、幅広い職場で働くことができます。
柔道整復師になるためには、柔道整復師養成施設で所定のカリキュラムを修了したうえで、厚生労働省が実施する柔道整復師国家試験に合格しなければなりません。試験の合格率は例年6~7割前後となっているため、しっかり学習すればきっと合格の道が開けるでしょう。
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※当記事は2022年5月現在の情報をもとに作成しています
監修者プロフィール
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