「医療事務はやめとけ」と言われる理由は?本当にブラックか検証
医療事務は未経験でも挑戦しやすく、やりがいある仕事として人気の職業です。にもかかわらず、医療事務を目指している方や、すでに医療事務として働き始めている方からは、「家族や友人に医療事務はやめとけとアドバイスされたことがある」という声を多く聞きます。
もしかすると、みなさんのなかにもSNSなどで、「医療事務は大変だ」「医療事務はやめとけ」などの発信を目にしたことがある方が、いらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、「医療事務はやめとけ」と言われる理由を掘り下げつつ、医療事務の良い点についても考察していきます。医療事務を目指している方、医療事務に興味のある方は、今後のキャリアプランを検討する際にお役立てください。
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目次
なぜ「医療事務はやめとけ」と言われる?
医療事務を目指す方が、家族や知人から「医療事務はやめとけ」と言われるケースは珍しくありません。また、身近な人から反対されたことで、「医療事務の仕事は自分に向いていないのかもしれない」と不安を感じてしまう方も多いと聞きます。
「医療事務はやめとけ」と言われる主な理由は、次の4つです。
ブラック病院が存在する
医療事務の職場には、次のような特徴を持つ病院も存在します。
- ・給与が低く、昇進や昇給もほとんど期待できない
- ・賞与や各種手当がない、または少ない
- ・スタッフの人数に対して業務量が多い
- ・サービス残業が多い
- ・有休を取りづらい
- ・いじめ、パワハラ、セクハラなどが見られる
- ・患者さまや地域住民からの評判が芳しくない
こうしたブラックな環境の職場に入職すると、ストレスや疲労で体調を崩したり、必要以上の業務に追われて成長のチャンスを逃したりする可能性があります。なかには、求人情報や雇用契約書の内容と、実際の労働環境が異なるケースもあるかもしれません。
入職前にブラック病院かどうかを見極めたい場合は、求人情報だけでなく、医療事務業界に精通した「キャリアアドバイザー」に相談すると良いでしょう。
業務量のわりに給料が低い
「医療事務は、業務量のわりに給料が安い」という声もよく聞かれます。以下は、医療事務の平均収入を看護師・准看護師と比較した表です。
なお、医療事務の給与額はマイナビコメディカルの求人情報から算出した推測値で、看護師・准看護師の給与額は厚生労働省が発表したデータを参考にしています。
平均月収 | 平均年収 | |
---|---|---|
医療事務(※1) | 約19~24万円 | 約285~360万円 |
看護師(※2) | 約34万円 | 約498万円 |
准看護師(※2) | 約29万円 | 約406万円 |
(※1出典:マイナビコメディカル/https://co-medical.mynavi.jp/)
(※2出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html)
医療事務は受付業務、会計業務、レセプト業務、クラーク業務など、やることや覚えることがたくさんあります。レセプト業務が増える月末から月初にかけては残業を求められることも珍しくないでしょう。また、診療報酬も2年ごとに改定されるため、その都度、新しい計算方法への対応や患者さまへの説明などが求められます。
それでも、医療事務の平均収入は看護師・准看護師より低い傾向にあり、業務量のわりにもらえる給料が低いことで、不満を感じてしまうケースもあるでしょう。
1日の流れや働く方法も紹介
職場の雰囲気が悪くストレスになる
ブラック病院とまではいかなくても、なかには雰囲気の悪い職場や、働いていて居心地の悪い職場もあります。
例えば、自己中心的な人ばかりで助け合いの精神がない職場だった場合、チームとして業務を進めるのは難しいですよね。その結果、職場全体の生産性が低下し、メンバーのモチベーションも下がってしまうでしょう。
また、情報共有がきちんとできていない職場では、業務に必要な情報がうまく伝わらず、「人によって言うことが違う」などのトラブルが起こりやすくなります。小さなミスが重大な医療事故につながってしまう危険もあるため、情報共有が足りない職場では心配事が多くなるでしょう。
離職者が多い
医療事務の仕事は、一般に離職者が多いイメージを持たれており、それが「やめとけ」という言葉につながっている可能性もあります。
医療事務の仕事は女性が多く、結婚、出産などを機に退職するケースが少なくありません。一方で、ここまで紹介してきたような環境・待遇・人間関係の悪さが理由となって辞めてしまう方もいます。
厚生労働省の発表によると、2021年における医療・福祉業界の離職者数は約106万人でした。これは、宿泊・飲食サービス業や卸売・小売業に続く多さです。さらに、離職者数を年初の労働者数で割った離職率は約13.5%で、全業界中5位。医療・福祉業界の離職率の高さを物語る水準となっています。こうした傾向は、おおむね医療事務にも当てはまるでしょう。
(出典:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/22-2/index.html)
ただし、すべての病院で医療事務の離職率が高いわけではありません。仕事そのものは大変でも、「経営者がスタッフをきちんと評価している」「福利厚生が充実している」「人間関係のトラブルが少ない」といった病院であれば、長く働くことができるでしょう。
よくある理由と転職のポイント
「医療事務はやめとけ」と言い切れない理由
「やめとけ」と言われてしまうこともある医療事務ですが、他の職種にはない魅力やメリットもたくさんあります。だからこそ、誰かの「やめとけ」という言葉だけで、医療事務の仕事を諦めるのは非常にもったいない行為。医療事務の良い点をきちんと知った上で、自分に合うか合わないかを判断しましょう。
ここからは、「医療事務はやめとけ」と言い切れない理由をご紹介します。
未経験・無資格でも仕事に就きやすい
医療事務として働き始めるのに特別な学歴や資格は必要なく、未経験OKの求人もたくさん見られます。そのため、医療事務は医療・福祉関連の経験がない方にもおすすめです。
医療事務関連の民間資格は必須ではありませんが、取得することで業務に必要な基礎知識が身に付くことは確かです。社会人向けの民間スクールや通信講座を活用して、資格に挑戦してみるのも良いでしょう。
採用にあたっては、医療事務の実務経験を重視する病院が多い傾向ですが、なかには未経験者を歓迎する病院もあります。仕事に対する先入観を持っていたり、前の職場のやり方にこだわったりする経験者よりも、謙虚でまっさらな未経験者のほうが良いと考える採用担当者も多く見られるので、未経験者の方も積極的に挑戦してみましょう!
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スキルアップ・キャリアアップを図りやすい
医療事務として働くためには、ある程度の専門知識やコミュニケーション能力などが求められます。覚えなければいけないことが多く、大変な面もありますが、仕事を通じて得たスキルは将来さまざまな場面で役立つでしょう。
医療事務経験者のなかには、診療情報管理士(HIM)へのステップアップを目指す方も大勢います。診療情報管理士は、患者さまの診療記録などをデータベースに入力して管理したり、資料を作成したりする職種です。診療情報管理士になるには、日本病院会主催の通信教育を1~2年間受講したのち認定試験に合格する必要があるため、興味のある方は日本病院会のサイトで詳細を調べてみましょう。
(出典:一般社団法人 日本病院会「診療情報管理士通信教育」/https://jha-e.jp/)
また、医療事務で得た経験やスキルは、医療系に限らず、一般企業の事務職などでも生かすことができますよ!
基本的な待遇や給料を上げる方法も解説
将来性が高く、仕事がなくなる心配も少ない
医療は人々が健康に生きるために欠かせない社会インフラであり、サービス業などと比べれば景気に左右されるリスクも低いと言えます。また、社会の高齢化や地域医療の推進にともなって、求められる医療サービスの内容が多様化しています。医療事務が活躍できる場面は、これからますます多くなるでしょう。
近年は、「ロボットやAIの発展によって事務系の仕事がなくなる」と言われていますが、仮にレセプト業務や単純な受付・会計業務などを自動化できたとしても、患者さま一人ひとりに合わせた細やかな対応は、人間でなければ難しいでしょう。そうした点からも、医療事務は将来性の高い職種と言えそうです。
ライフスタイルに合わせて働き方を変えられる
医療事務の求人は全国各地にあり、正社員から短時間のパートまでさまざまな雇用形態がそろっています。派遣の求人も多いため、職場によっては都合の良いタイミングを選んで働くことも可能です。そうした理由から、医療事務は結婚や子育て、引っ越しなどでいったん離職しても、復職しやすい仕事と言えるでしょう。
また、医療事務は女性が多い職場なので、子育てや介護への理解を得やすい点も大きな特徴です。勤務先によって差があるものの、レセプト期間や繁忙期を除けば、残業もそれほどありません。
なかには年齢制限がない求人もあるので、子育てが一段落したり、他業種である程度の経験を積んだりした後で、医療事務に挑戦するのも良いでしょう。
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まとめ
「医療事務はやめとけ」と言われる主な理由として、業務の幅が広く、時期によっては激務になること、看護師・准看護師に比べて平均収入が低めなことなどが挙げられます。医療職全体の離職率が高いことも、イメージを悪くしている一因でしょう。しかし、実際の状況は勤務先によって大きく異なり、1か所で長く働き続けて、順調にスキルアップする方もたくさんいらっしゃいます。
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