柔道整復師と整体師はどう違う?資格・仕事内容・勤務先を解説
柔道整復師と整体師は、名称が似ていることから区別がつきにくい職種の1つです。しかし、実際は資格や仕事内容、できることなどに大きな違いがあります。資格取得の難易度や受験資格も異なるため、柔道整復師、整体師を目指す方は、あらかじめ両者の違いを把握しておくとよいでしょう。
当記事では、柔道整復師と整体師を取り上げ、資格取得方法や仕事内容、就職先の違いについて詳しく解説します。柔道整復師、整体師として活躍したい方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
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柔道整復師と整体師の資格の違い
柔道整復師と整体師のいちばんの違いは、働く際に必要となる資格です。柔道整復師は国家資格が必要なのに対し、整体師には法的に求められている資格がありません。
一般的に、体のゆがみを調整し、調子を整える施術の総称として「整体」という名称が使われており、カイロプラクティック、リフレクソロジーなどがそこに含まれます。また、整体師が行うそれらの施術は民間療法に位置づけられており、保険診療を行うことはできません。
ここでは、柔道整復師と整体師の資格について詳しく解説しましょう。
柔道整復師の資格
柔道整復師資格は、柔道整復師国家試験に合格することで取得できます。柔道整復師国家試験の概要は以下の通りです。
【柔道整復師国家試験の概要】
試験内容 | 筆記試験 |
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試験科目 | 解剖学、生理学、運動学、病理学概論、衛生学・公衆衛生学、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、リハビリテーション医学、柔道整復理論及び関係する法規 |
試験日程 | 年1回の実施 |
受験資格を得るには、文部科学大臣の指定した学校、または都道府県知事の指定した柔道整復師養成施設で3年以上学び、指定のカリキュラムを修了する必要があります。国家試験合格後は、柔道整復師名簿に登録を申請することで、柔道整復師免許証明書が交付されます。
(出典:厚生労働省「柔道整復師国家試験の施行」/https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/judouseihukushi/)
(出典:公益社団法人全国柔道整復学校協会「柔道整復師になるには」/https://www.judo-seifuku.or.jp/judo/about/)
整体師の資格
資格がなくても整体師を名乗ることはできますが、施術を行うにあたっては体の筋肉・骨格などの知識が必要になることから、整体師として働く方の多くは、整体に関連した民間資格を取得しています。
以下では整体に関連する、代表的な3つの資格をご紹介します。
リフレクソロジー |
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フレクソロジーとは足裏・手といった体の一部分を刺激することで、人間が本来持っている自然治癒力の向上を促す療法です。リフレクソロジーでは足や手、顔などに全身を投影する反射区があり、その反射区を刺激することで臓器や器官の疲労改善がはかれると考えられています。 リフレクソロジーは、西洋式と東洋式に分類されるほか、施術内容や特徴も資格の主催団体によって異なります。たとえば、日本ヒーリングリラクセーション協会認定の「リフレクソロジー・プロライセンス実技士資格」は、リフレクソロジー技術に加え、緩和ケアで活用できる知識・技術も含まれる資格です。資格取得にあたっては、目的を明確にしたうえで、どの資格取得にするかを決めるとよいでしょう。 |
(出典:日本ヒーリングリラクセーション協会「リフレクソロジー資格概要」/https://jhrs.jp/licenses/license.html)
カイロプラクティック |
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カイロプラクティックは、背骨を中心とした骨格のゆがみ(あるいは機能障害)を手技で調整することで、体の動きや働き、姿勢などを整えていく施術です。骨格の調整だけでなく、姿勢体操の指導や栄養、睡眠に関する生活指導を行うケースもあります。 日本にはカイロプラクティックの法的資格制度がありませんが、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)では、WHOの基準を満たした教育を受けた方を対象に試験を実施。合格者を「登録カイロプラクター」として登録し、厚生労働省に名簿を提出しています。 |
(出典:一般社団法人日本カイロプラクターズ協会「カイロプラクティックとは」/https://jac-chiro.org/aboutchiro/)
整体セラピスト |
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整体セラピストは、体の筋緊張によるゆがみを取り除いて体調を整えるほか、リラクセーションによる心のケアも行います。そのため、整体セラピストの資格取得にあたっては、整体技術だけでなく、「セラピスト学」「コミュニケーション学」などメンタル面にアプローチする能力も求められます。 整体セラピストの資格には1級〜3級、準教職員、教職員、検定員といった段階があり、3級の場合は通信教育を受けた後に、筆記試験・実技試験に臨むケースが一般的です。 |
(出典:日本セラピスト認定協会「整体セラピスト検定」/https://therapist-nintei.or.jp/licensetype/therapist/)
資格取得方法・必要な費用相場を解説!
柔道整復師と整体師の仕事内容の違い
柔道整復師と整体師は、仕事内容やできることにも違いがあります。重要な違いとして挙げられるのは、医療系国家資格者である柔道整復師には医療行為が認められているのに対して、民間資格である整体師はできる施術に制限があり、保険診療が認められていない点です。
ここからは、柔道整復師と整体師の仕事内容について、詳しく見ていきましょう。
柔道整復師の仕事内容
柔道整復師は、骨折、脱臼、打撲、捻挫などに対して、整復、固定、後療法といった出血を伴わない方法(非観血的療法)で治療を行います。具体的には、手技を使って脱臼や捻挫による関節のずれを治したり、三角巾や包帯、テーピングなどで患部を固定して症状の回復を図ったりするのが主な仕事内容です。
ただし、骨折・脱臼を治療する場合、応急手当以外は医師の同意が必要です。打撲や捻挫などの治療は医師の同意なし行うことができ、外傷性の損傷への施術には保険診療が適用されます。
柔道整復術は検査機器や薬を使わず、直接患部を視診、触診したり、患者に問診を行ったりしながら、症状を確認・治療する点に特徴があります。そのため、患者さまときちんとコミュニケーションを取ることも、柔道整復師の大事な仕事と言えるでしょう。
また、患部の治療だけでなく、患部周囲がこり固まらないように手技や温熱を施したり、施術後に運動療法を取り入れたリハビリ指導を行ったりするのも、柔道整復師の業務に含まれます。
(出典:公益社団法人 全国柔道整復学校協会「柔道整復師とは」/https://www.judo-seifuku.or.jp/judo/)
(出典:公益社団法人全国柔道整復学校協会「柔道整復師について」/https://www.judo-seifuku.or.jp/judo/)
整体師の仕事内容
国家資格ではない整体師は、医療行為にあたる「治療」を行うことができないため、施術内容は体のゆがみ矯正や疲労回復、リラクセーションに重点がおかれています。たとえば、カイロプラクティックでは手技で背骨などのゆがみを矯正して、体の動きや働きを整える。リフレクソロジーでは足裏や手を刺激して自然治癒力を高めるなどです。
なお、整体師が行えない施術の具体例は、以下の通りです。
- ・あん摩
- ・マッサージ
- ・指圧
- ・はり
- ・きゅう
- ・整復
「整体師はマッサージができる」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、マッサージや指圧は法律上、治療を目的とした医業類似行為となるため、あん摩マッサージ指圧師の資格がないとできません。ただし、もみほぐし行為やリラクゼーションを目的とした施術は、マッサージにあたらないため、整体師でも行うことが可能です。
こうしたことから、日常的な疲れや痛みの軽減、ストレスの軽減、健康維持などが、整体師の主な仕事だと考えてよいでしょう。
柔道整復師と整体師の勤務先の違い
柔道整復師と整体師は、どのような職場で活躍できるのでしょうか。以下ではそれぞれの勤務先について解説します。
【柔道整復師の主な勤務先】
- ・接骨院
- ・整骨院
- ・医療機関(整形外科やリハビリテーション科)
- ・介護施設
- ・スポーツ施設
柔道整復師は、接骨院・整骨院だけでなく、医療機関の整形外科、リハビリテーション科などでも活躍できます。また近年は、介護業界でも柔道整復師のニーズが高まっており、機能訓練指導員として介護施設に勤務する方も増えています。機能訓練指導員として働く場合は、利用者さま1人ひとりの心身状態に合わせて機能訓練やリハビリを行い、充実した日常生活を営めるように支援することが主な役割となります。
加えて、スポーツ施設などで働くスポーツトレーナーも、柔道整復師の知識・技術が役立つ仕事の1つです。スポーツトレーナーの主な仕事としては、トレーニングの指導やコンディショニングのサポート、運動中に起きたけがの手当や治療後のリハビリテーション補助などが挙げられます。
柔道整復師には独立開業が認められており、最大3年間の実務経験と一定の研修を積み、施術管理者の要件を満たすことで独立開業ができます。そのため、柔道整復師のなかには、キャリアアップを目指して接骨院や整骨院、柔道整復院を開業する方も多く見られます。ただし、独立開業して成功するには、施術の技術だけでなく、経営や集客の知識・スキルも必要になるでしょう。
一方、整体師が活躍しているのは以下のような職場です。
【整体師の主な勤務先】
- ・整体院
- ・カイロプラクティック院
- ・リラクセーションサロン
- ・介護施設
- ・スポーツ施設
整体師は、整体院やカイロプラクティックで働く方が多い傾向です。また近年は、リラクセーションサロンなど、美容を目的とした職場での需要も高まっています。整体師は医療行為こそできませんが、介護施設におけるリハビリのサポートや、スポーツジムでのコンディショニングサポートなど、活躍の場は決して少なくありません。
柔道整復師と同様、独立開業を目指す方も多くいらっしゃいますが、整体師が整体院などの施設を開業する場合、資格・経験年数などの決まりはありません。
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まとめ
柔道整復師と整体師は、似ている仕事だと思われることも多いですが、必要な資格やできる施術に大きな違いがあります。外傷への治療に携わりたい方は、国家資格である柔道整復師の資格を取得するとよいでしょう。
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※当記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています
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