病院調理師とは?仕事内容や給料相場・病院調理師になる方法
調理師の働き方の1つに、「病院調理師」があります。病院調理師とは、その名の通り総合病院や一般病院などの医療機関で働く調理師のことで、入院中の患者さまの病院食を作るのが主な役割です。
この記事では、病院調理師の仕事内容や給料相場、勤務形態などについて詳しく解説します。さらに、調理補助との違いや、病院調理師に有利な資格、求人情報の探し方もご紹介しますので、病院調理師に興味のある方や医療業界で活躍したいと考えている調理師の方は、ぜひ最後までお読みください。
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目次
病院調理師とは?
病院調理師とは、総合病院や大学病院、一般病院、クリニックといった医療機関で、入院中の患者さまに向けた食事を作る調理師のことです。
調理師が働く場所として、真っ先に思い浮かぶのはカフェやレストラン、ホテル、旅館などですが、病院や学校(給食センター)、介護事業所といった医療福祉施設も調理師が活躍できる場所の1つ。ただし、飲食店調理師と病院調理師とでは、勤務時間や仕事内容に大きな違いがあり、患者さまの症状や治療方針に沿った食事を作る点や、1度に大量の食事を作る点、事前に作り置きができない点などが病院調理師の特徴と言えます。
病院調理師の仕事内容
病院調理師は病院の栄養管理室などに所属し、管理栄養士や医師、看護師らと協働しながら、入院中の患者さま1人ひとりの症状、治療方針に合わせた病院食を提供。調理を通じて、患者さまの健康維持と早期回復をサポートしています。
病院調理師が作る食事は、「一般食」と「特別治療食」の2種類があり、それぞれの特徴は下記の通りです。
一般食 | 特別な制限がない常食、軟食(おかゆなど消化の良い食事)、流動食などのこと。食形態には一口大、きざみ、ミキサー(ペースト)、ゼリーなどがあります。 |
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特別治療食 | 疾患に応じて、カロリー、たんぱく質、脂質、塩分などを制限した食事のこと。医師の指示にもとづいて提供され、エネルギーを制限した糖尿病食、たんぱく質やカリウム、食塩などを制限した腎臓病食などがあります。 |
なお、職場によっては調理や仕込みの他、厨房内の清掃や食器洗浄、配膳などが業務内容に含まれる場合もあります。そうした幅広い業務をこなすのは大変ですが、患者さまから「ありがとう」「おいしい」という言葉をいただけたときは、病院調理師の仕事に大きなやりがいを感じられるでしょう。
病院調理師の給料相場
病院調理師の収入の目安は、月収が約15〜20万円、年収は約180〜240万円となっています(ただし、月収・年収はマイナビコメディカルなどの求人情報をもとに算出した推測値です)。なかには賞与が年2回支給される病院もあり、年収が300万円を超えるケースも少なくありません。
飲食物調理従事者の平均年収である約333万円と比較すると、病院調理師の年収はやや低い傾向にありますが、その一方で大規模な施設では、住宅手当や皆勤手当、早出手当といった各種手当が充実しています。安定した職場で働きたい調理師の方にとっては、魅力的な働き方と言えるでしょう。
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html)
病院調理師の勤務形態
病院調理師の多くはシフト勤務で、おおよそ6時〜21時の間で早番と遅番の2交代、もしくは3交代となっています。通常の飲食店と比較すると、休憩時間がしっかりと確保されているため、比較的働きやすい環境だと言えるでしょう。
病院調理師の休日休暇は、週休2日制で年間休日が約110〜120日というケースが多く見られ、シフト制ながら休みはしっかりと確保できる印象です。また、出産・育児休暇、介護休暇などが充実している施設も多く、家庭と両立したい調理師の方にとっても働きやすい職場だと言えます。
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病院調理師と調理補助の違い
調理補助とは、調理師や管理栄養士の指示のもとで調理のサポートを行う仕事のことです。調理補助の主な業務内容は、食材のカットや盛り付け、食器の準備・洗浄、調理器具の用意、配膳・下膳など。調理未経験でも応募可能な求人も多く、調理のサポートに加えて事務作業を任されることもあります。
調理補助は病院調理師と同じように、調理業務を行うことができますが、資格を持たないため調理師を名乗ることはできません。しかし、病院調理師や管理栄養士が働く現場を体験できるのは大きなメリットと言えます。「病院調理師になりたい」という方は、調理補助として経験を積んだ上で、調理師資格の取得を目指すのもひとつの方法でしょう。
仕事内容・免許取得方法・平均給与も紹介
病院調理師になるには?あると有利な資格
病院調理師になるには、基本的に調理師免許があれば問題ありません。しかし、「病院調理師としてより専門性を磨きたい」という方は、他の資格の取得に挑戦してみるのも良いでしょう。
ここでは、病院調理師として有利になる資格を2つご紹介します。
日本病院調理師認定資格
日本病院調理師認定資格とは、病院や福祉施設などで働く調理師を対象に、専門的な知能・知識・技術があることを認める資格のこと。複雑さを増す治療食や個別対応食に関わる調理師の資質向上を目指して、一般社団法人日本病院調理師協会が認定しています。
日本病院調理師認定資格を受験するためには、次の受験資格をすべて満たす必要があります。
・日本病院調理師認定資格の受験資格
- ・日本病院調理師協会の正会員
- ・通信教育講座(受講期間約3か月)の受講修了者
認定試験では、通信教育講座で使用するテキストから、3択で60問出題されます。ちなみに通信教育講座には受講資格があり、病院、福祉施設、老人保健施設、特養施設などに勤務する調理師・栄養士や関係者、または専門学校教員などが対象です。
例年5~6月頃に、日本病院調理師協会ホームページにて通信教育講座の受講者を募集しているので、講座の受講を希望する方はチェックしてみましょう。
(出典:一般社団法人日本病院調理師協会 – JMCA -「資格取得」/https://byoin-chori.jp/certify/)
専門調理師・調理技能士
専門調理師・調理技能士とは、調理技術技能評価試験に合格した方に与えられる称号で、調理師として高い専門技術と技能を持つことを認める資格です。調理技術技能評価試験は、厚生労働省により定められた技能検定制度の1つであり、昭和57年に調理師の技術向上や食文化の発展を目指して創設されました。
調理技術技能評価試験では、実技試験と学科試験が行われ、受験するためには次のいずれかに該当する必要があります。
・調理技術技能評価試験の受験資格(いずれかに該当)
- (a)実務経験が8年以上ある者
- (b)指定された調理師養成施設で1年以上調理に関する学科を修めて卒業し、実務経験が6年以上ある者
- (c)職業能力開発促進法にもとづき、調理に関して専門課程の高度職業訓練または普通課程の普通職業訓練を修了し、実務経験が7年以上ある者
- ※上記すべてのケースにおいて、実務経験中に調理師免許の所有期間が3年以上あること
なお、飲食店営業の許可を受けた営業施設であっても、主にケーキやデザート類、パン製造の業務に従事している場合や、会社や研究所等で食品開発業務の一環として従事している場合などは、実務経験として認められないので注意が必要です。
専門調理師・調理技能士には、調理学校の教員資格も与えられることから、スキルアップ・キャリアアップを目指す調理師であれば、ぜひ取得したい資格と言えるでしょう。
(出典:公式財団法人 調理技術技能センター「調理技術技能評価試験について」/http://www.chouri-ggc.or.jp/cgghshiken/)
病院調理師の求人情報を探す方法
病院調理師の求人を探す主な方法としては、次の2つが挙げられます。
・病院の採用情報ページを見る
インターネットで気になる病院を検索し、採用情報ページで調理師の募集がないかを調べる方法です。働きたい施設に絞って情報を探すことができますが、「必ずしも求人があるとは限らない」「こまめにチェックする必要がある」などのデメリットもあります。
・キャリアアドバイザーがいる転職サイトを使う
キャリアアドバイザーがいる転職サイトを活用すれば、プロのアドバイスを受けながら、具体的なキャリアプランを見据えた転職活動を行うことができます。マイナビコメディカルでは、キャリアアドバイザーが希望に合った就職先を提案するだけでなく、書類作成から面接、内定まで、転職活動を一貫してサポートいたします。病院調理師を目指す方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
病院調理師とは、その名の通り病院で働く調理師のことで、患者さま一人ひとりの症状や治療方針に合わせた食事を提供する点に特徴があります。病院調理師の年収は、おおよそ180〜240万円で、年間休日や福利厚生は充実している傾向です。また、病院調理師に有利な資格を取得することで、さらなるキャリアアップを目指すこともできるでしょう。
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※当記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています
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